『スモールハウス』を読んでみたで
完璧なデザインというのは、それ以上加えるものがないときではなく、それ以上取り除くべきものがないときに、初めて達成される。
by サン=テグジュペリ
ミニマリストとしてシンプルな生活を送る人の本『スモールハウス』をよんでみました。
まず、スモールハウスの存在意義として推奨派のジェイ・シェファー氏の言葉を引用します。
僕は、自分の平穏な暮らしを支えてくれる家が欲しかったのであって、それを支えるために暮らしを捧げなければならないような家を欲しくはなかった。一方で、賃貸という考えは自分にはなかった。借り物じゃなくて、自分色に染めて支える、正真正銘の自分の家が欲しかったんだ。
つまり、一生使える自分の家が欲しいが家にお金はかけたくないので小さいのでいいだろうってことです。
ちなみにシェファー氏は自分の家を自分の手でデザインしており、そのやり方は「引き算方式」で決めたという。欲しいものを膨らましていくのではなく、ある程度の機能を備えた家を思い浮かべ、そこから必要でないものを削ぎをとしていくというやり方です。冒頭で触れたサン=テグジュペリの引用はここに通じます。
この本ではこの後いろんな人が所有するスモールハウス、それを持つに至った経緯を紹介しています。
自分もマイホームは持たなくていいんじゃないかって考えには同意しています(自分で小さい家をデザインしたいとまではいかないが)。家の機能っていうのは人それぞれだと思います。例えば自分の趣味に打ち込めるだとか、ただ寝るだけの場所だとか、、、。で、本質を考えた時に、広さっていう要素が重要な訳じゃないんじゃないかって思うんです。広さを意識するとそれだけコストがかかりますし、家は資産だからっていっても日本は中古物件の資産価値ってのはかなり低い。持つ家を小型化して、その分浮いたお金で他のことをしたいなーと。
またこの本を読んでいた時に、心理学者のユングがスイスのボーリンゲン村に建てた塔のことを思い出しました。彼はそこにこもってあれこれ思索していたそうですが、塔には必要最小限の機能だけ持たせて・・・っていうのは、たびたび紹介されていたスモールハウスたちと似ていました。