股間で点字は読めるの???
『触れることの科学』という本を読みました。
- 作者: デイヴィッド・J.リンデン,David J. Linden,岩坂彰
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/09/21
- メディア: 単行本
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以下メモです。
アリストテレスは人間の認知の優位性に悩んでいた。鷹は人より優れた目を持ち、犬は優れた嗅覚をもつ。ではなぜ人間の方が賢いのか?これは触覚が敏感なためだと考えた。そして皮膚が薄い人が思考能力が高く、熱いものが思考能力が低いといった間違った主張をした。
←奴隷などの肉体労働をする者は自然と皮膚が厚くなり、貴族などのエリート階層ほど柔らかい皮膚を持っているといった社会階級に基づく指針が頭の中にあったのでは?
皮膚には有毛と無毛の二種類ある。綾瀬はるか、藤原紀香のようなきめ細やかな肌は無毛皮膚ではない。よく見ると軟毛(産毛)に覆われているのがわかる。では無毛皮膚とはなにか?手の平や足の裏、唇、乳首、一部の生殖器に存在する。女性は小陰唇とクリトリスは無毛で大陰唇は有毛、男性は包皮と亀頭が無毛で陰茎が有毛。どちらの皮膚も同じような層から成り立っている。
大きく表皮と真皮に分かれ、表皮は外側から角皮(角質層)と呼ばれる死んで扁平になった皮膚細胞の下に3つの層(顆粒層、有刺層、基底層)がある。それぞれの層はケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、メラノサイトなど数種類の細胞が混じってできている。メラノサイトがメラニンという粒状の色素を作り、肌の色を決めている。んで、もっとも体内に近い基底層で細胞分裂により皮膚が作られ約50日かけて表皮から剥がれ落ちる。
・指紋の謎
無毛皮膚の方が厚く、波打っている。→指紋の形成。
乾燥したモノを持つ時には指紋がある方が30%ほどグリップ力があがる。
また、お風呂中手がしわしわになることがあるがこれは角質の死んだ部分に水が入り込むためではない。というのも神経の切断や神経伝達を妨げる薬で脊髄から皮膚に信号が伝わらないようにするとしわしわにならないことが1936年に観察された。
おそらく、水中でよりグリップ力をつけるためにしわしわになってるのでは?
生殖器はちょっとした皮膚の変形も検出できるという意味では敏感だが、皮膚に伝わる力の正確な位置や質感は区別できないため識別能はもたない。皮膚表面に近い部分にあるメルケル盤が多く分布していないからだ。
試しに針を2本使って、どの間隔であれば1本ではなく2本だと識別できるのか試して見た。
結果は、指先は1mm、小陰唇は7mm、亀頭の無毛皮膚で5mm、陰茎の有毛皮膚で12mm。つまり生殖器で点字は読めないことがわかった。
一方、唇や舌はメルケル盤が高密度で分布しているので点字の読み取りには使える。