『貝と文明』を読んで見たぞ!
『貝と文明』という本を部分読みしました。
貝と文明 (螺旋の科学、新薬開発から足糸で織った絹の話まで)
- 作者: ヘレンスケールズ,林裕美子
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: 単行本
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以下、メモです。
貝は軟体動物が作る。
その軟体動物とはなんぞ?
軟体動物は英語でモルスク(mollusk)といい、これはアリストテレスの時代から使われてきた。柔らかいという意味の「モリス」に由来している。だが動物をつついて柔らかいか調べても軟体動物かどうかはわからない。
今では動物全体で35門ある区分の一つに軟体動物門というのがあり、8つの区分で構成される。多いのが腹足類。一本だけある足の裏に口があり、その足で這い回る。次に多いのが二枚貝類。対になった殻を蝶番でつなげて開け閉めし、殻を完全に閉じれば体を覆うことができる。
貝殻を読み解く
どうすれば美しい貝殻になるのか?貝殻の形がなんの役に立つのか?決して出現しない形はなんなのか?
簡素で美しいものの一つがオウムガイ。これは17世紀、ルネ・デカルトが考案した対数螺旋で記述される。蛇がとぐろを巻くように同じ幅で渦を巻くアルキメデスの螺旋とは違い、対数螺旋は中心に行くほど幅が狭くなる。対数螺旋はひまわりの種の並び方、渦を巻く銀河系など様々なところで見られる。
貝の渦巻きの多くが対数螺旋で表せることは1838年に聖職者かつ数学者のヘンリー・モーズリーが示した。起点を中心に一回転するたびに同じ割合で幅が広がるが螺旋が大きくなっても全体の形は相似である。そしてこの要素が貝殻を作る上で重要となる。
軟体動物の貝殻の作り方は、陶芸の「ひもづくり」と似ている。中空の紐で紐の片側の殻口だけに外套膜(軟体動物の体をおおう筋肉の膜)が殻を足していく。まず、骨格となるタンパク質を分泌し、炭酸カルシウムで補強。殻の構築のための素材として、食物や海水から炭酸イオンを取り込み、貝の縁と外套膜のすきまに注入。最後に貝の柔らかい体を守るために内側に真珠層を塗る。
動物の密度が高い熱帯の海では、生き延びるために軟体動物は成長につれて殻の飾りを増やす。大きな棘が規則他正しく並んだり、密に棘が並んだり・・。もし殻を大きく分厚くすると引きずり歩くのに労力がかかり、飲み込まれたりしてしまう。
貝は基本右巻きなのだが、これは右巻きの貝と左巻きの貝が交尾できないという理由による。巻貝は殻だけでなく体も左右非対称なので、メスの生殖口は片方にしかないのだ。